今回は、前に紹介した「幻夜」の文庫本解説を書いていた馳星周さんのデビュー作「不夜城」です。
~新宿歌舞伎町でバーと故買屋を営む健一は、日本人と台湾人の“半々”として生まれた。幼くして父親を殺され、台湾勢力の実力者の庇護のもと水商売で生計を立てる母親と歌舞伎町で育つが、日本社会には認められず台湾社会にも馴染めない。母親が男と駆け落ちし、健一は、歌舞伎町での複雑な勢力抗争を利用して綱渡りの日々を送る。そこに、かつての相棒でいまは歌舞伎町を追われる身の富春と、富春の女だと名乗る謎の女・夏美が現れたことで、健一の足もとは大きくバランスが崩れていく~
馳さんの解説で“ノアール”という言葉を知りましたが、この作品も“ノアール”なんですね、きっと。主人公の健一が生き残りを賭けて必死で勢力グループ間を渡り歩き、口八丁手八丁で困難をかいくぐって日々を過ごす様子は、読むだけでどっと疲れます。そのうえ愛している女性と化かし合いの毎日では、心が休まる暇もありません。暗黒社会への鉄鎚でもなく、究極の愛の姿を描いたようにも感じられず、疲労だけが残ったというのが正直な感想です。
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